口和の魅力を深堀取材!
#口和が好き

#口和が好き 011 口和駐在所

口和町向泉 庄原警察署 口和駐在所

川東哲也さん

#口和が好き011 2024年3月20日


いつもにこやかに、口和の安全を守ってくれていた駐在の川東さん。今回は、まさかこの春に異動となり寂しい限りですが、川東さんへの感謝の気持ちを込めてお話を伺ってきました。川東さんの知られざる一面が明らかになります。また、あわせて川東さんから見た口和についても伺いました。

川東さんが口和駐在所に赴任してこられたのが2022年の4 月ですので、この春で丸2年目になります。ご自宅は広島で単身赴任されていました。


警察官には階級があり、川東さんは現在「警部補」です。警察法第62 条に警察官の階級が定められていて、巡査、巡査部長の上がこの警部補になり、その先が、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監と続くので、川東さんのこれからが楽しみです。


川東さんは瀬戸内海に浮かぶ香川県の「豊島」で1979 年に生まれました。「豊島」と書く島は広島県にもありますが、川東さんがお生まれになったのは、香川県の「豊島」です。読み方は「てしま」で、高松市の北、小豆島の西に位置します。面積が口和町の約10分の1の小さな島で、小学校中学校に通い、その後はフェリーで小豆島の高校に通いました。

こうして、瀬戸内の島で育った川東さんですが、高校卒業後は現在のお姿からは想像もつかないような道に進んでいたのです。


高校卒業後の川東さんは、上京して専門学校の「文化服装学院」に進学し「スタイリスト科」で服飾について2年間学ぶことになります。これには僕もびっくりしましたが、ほぼ全ての人がこのエピソードを聞くと「なんで ゚д゚))!」となるそうですがそれは当然でしょう。
洋服好きやファッション好きな人はたくさんいますが、その道の学校にまで通うというのはかなり好きじゃないとできないことです。それゆえに、現在の川東さんからはかけ離れていて驚きは大きくなるばかりなのです。


普段は制服姿ばかり見かける川東さんの私服姿を見てみたいですし、僕のファッションも厳しく取り締まりして頂きたいです。


文化服装学院を卒業後は、原宿にある古着屋さんで働き、服飾の世界にどっぷり浸かる日々でした。ここからどうやったら「警察官」という道につながるのか。そこには、古着屋でのある体験がありました。
古着屋は、その多くがお店は狭く、シャツやズボンがハンガーに掛けられ大量に隙間なくみっちりと、床から天井まで上下二段や三段、前後左右の壁一面に並んでいるようなお店がほとんどです。周囲がみっちりの布で囲まれ露出した壁が少ないので、音の反響が少なく、棚下に隠れているラジカセなどから、だいたいレゲエやラップが流れています。

そうなると、必然的に店内は死角が多くなります。鏡や防犯カメラはありますが、直接店員さんの気配を感じない場所ができてしまうのです。


もうお分かりかと思いますが、そうなのです。「万引き」が多いのです。商品には防犯タグが付けられているので、それが付いたまま出入口のゲートを通るとブザーが鳴ります。万引きをした子は、ブザーが鳴ると猛ダッシュで逃げていき、それを川東さんがさらに猛ダッシュで追いかけるということが度々ありました。
「なんで、この子達は万引きをしてしまうのだろう。」


ブザーが鳴るとダッシュする日々を過ごしながら、川東さんの頭のなかにはこのような思いが湧いてきました。そして万引きをする若者達と向き合い様々な事情を聴くうちに、いつしか少年犯罪を減らしたいと想うようになり、警察官という道を考えるに至りました。


3年間勤めた古着屋を辞めて、どうせなるなら故郷でということで、香川に帰り警察官採用試験の受験勉強に取り組みました。


しかし、当時の香川県警察は採用人数が少なく、3人程度の採用に対し200人以上が受験するという狭き門でした。そこで、周辺の県もいくつか受けることにし、そのうち比較的採用人数の多かった広島県警察に採用されました。


最初の赴任地である広島東警察署では、交番勤務が3年、初動捜査係が1年。その後、広島中央警察署へ異動後に1年間交番勤務をされたあとは、ここ口和に来るまでは約11年続けて刑事畑を歩んでこられました。
配属先には、広島中央警察署の強行犯係や、広島県警察本部の刑事部刑事総務課の刑事部長直轄捜査隊、刑事部捜査第一課といった、なんとも凄い名前が並びます。

現在は口和の駐在さんということで、私たちからすると制服姿が当たり前ですが、川東さんのこれまでの警察官キャリアのうち制服を着た地域警察官の5年5カ月に対して、刑事としては13年間ということで、その多くを刑事として歩んで来られました。


そのなかで、僕のような一般人の人生では一度も経験しないような場面を何十回、何百回と踏んで来られているのです。川東さんをはじめ、全国の刑事さんたちは、私たちが知らないところで過酷な仕事を引き受けて下さり、ドラマや映画のような、またそれ以上の場面に日々臨んでおられるのです。


川東さんも、口和に赴任して来てお子さんの学校行事に参加できるようになったのが嬉しいとおっしゃっていました。川東さんのどんなときも変わらない笑顔の向こうには多くの出来事があったと思うと、あの笑顔に人間的な厚みを感じずにはいられません。


刑事の世界から約11 年振りに制服を着た地域警察官としての赴任地が口和ということで、地域的にも仕事内容的にも全てが新鮮だったのではと想像します。

川東さんが口和に来られて印象的だったこととして、季節を感じられること、地域の伝統行事やお祭りが多いこと、地域のつながりが強いこと、ひとが優しいこと、食べ物が美味しいこと、などたくさん挙げられていますが、刑事時代と比べると、口和に住む私たちには当たり前のことでも感動的に映るのかもしれません。


なかでも、地域のつながりが強いというのは、警察官というお仕事上も大切な部分です。口和では、口和支所、社会福祉協議会、自治振興区、民生委員さんなどたくさんの方々が綿密に連携していますが、広島市内ではこのようなことを経験したことがないそうです。様々な会議で地域ことを熱心に考えておられるみなさんの姿を見て、川東さんも見習わなければと思っていらっしゃるそうです。


また、駐在さんの大切なお仕事のひとつに「巡回連絡」があります。巡回連絡とは、地域住民の皆様の要望や意見をお聞きしたり、犯罪の予防、交通事故の防止などについて連絡を行ったりするために、年に1回、家庭や事業所を訪問する活動です。地域住民と警察官が顔なじみになっておくことは、災害などが起きた場合に非常に重要になってくるのですが、その一方で、訪問を受けるお家の人からすると、「突然警察官が来た!」という場面になるので、初めてだと結構ドキッとします。僕などは、警察官のみなさんの、無線機等がくっついたチョッキ状をした装着物の非日常的且つSF的質感に圧倒されてドキドキが増します。


都市部では隣近所のつながりが薄く、誰かが家に来るというのも限られています。郵便や宅急便の配達ならいいのですが、なかには押し売り的な訪問販売もあり、誰かが来るということに抵抗感をおぼえる人も多くいます。そんなこともあるなかで、非日常的装備を身にまとって各家庭を訪問するのは、すんなり行くことばかりではないだろうなと容易に想像できるのです。本当にご苦労さまです。

ところが、口和ではどのご家庭もみなさん一様に快く受け入れてくださり、なかには巡回を楽しみに待ってくださっている方もいらっしゃるというではありませんか。そればかりか、地域の方のほうから、声を掛けてくださったり、ときには駐在所にお話に来てくださったりすることもあるそうです。


これが、「田舎ならよくあること」と解釈することもできますが、口和特有のひとを受け入れてくれる地域性ととらえることもできます。


というのも、以前口和に赴任されていた西本さんは、口和が気に入ってそのまま定住までしてしまいました。さすがにこれは、「田舎だからよくあること」ではありません。


以前、川東さんのご家族が夏休みに口和に遊びに来られた時も、口北のプールで泳いでいると口和の子ども達が川東さんのお子さんに声を掛けて一緒に遊んでくれたそうです。


川東さんは、このことからも、子どもから大人まで口和の人の優しさを感じていらっしゃいました。

ちなみに、駐在さんは日常的には駐在所の外でお仕事をされていることが多いので、留守になることも多いそうです。なので、もし事故や事件など緊急のことがあった場合、駐在所に電話しても留守が多いので、必ず「110番」か「庄原警察署(0824 72 01100110)にご連絡ください。駐在さんには無線で連絡があるので、そのほうが確実で早いそうです。

一方、川東さんが心配されているのが、防犯についてです。もともと地域のつながりも強く、優しい人が多いことから、犯罪が起こることも極端に少なく、それゆえに防犯意識が高まるような出来事もありませんでした。それを最もよく表しているのが「家のカギ」ではないでしょうか。口和では、外出する場合にカギを掛けないことがあると思います。


確かに窃盗などの犯罪が起こる確率は、都市部の方が高く、また訪問販売なども多いので、家に居るときも玄関のカギを掛けている人がほとんどでしょう。川東さんは口和でももう少し防犯意識を高くして欲しいと考えています。


田舎だからカギを掛けなくても大丈夫。これを逆手に取り、田舎を狙う窃盗も現実に起きていることを考えると、防犯意識を高めておいてもよいのではないでしょうか。


また、なかなか減らない「振込め詐欺」などの特殊詐欺についても、気を付けるのはもちろん家の電話を防犯機能付きにするといった対策も重要です。


普段のパトロールや通学の見守りなどで地域の安全を守ってくださっている川東さんですが、防犯意識をより一層高めてもらうために、地域のサロンなどに出向いてお話をされることもあります。駐在さんと地域の距離が近いからこそ、このようなお話をいかして、より安心安全な口和にしていきたいですね。


出向くと言えば、川東さんは特技のサッカーを生かし、ご都合がつくときは口和の少年サッカークラブ「口和F.C. 」で臨時のコーチもされています。見るからに子ども好きな川東さんが、あの笑顔で子ども達とボールを追いかけている姿が、すぐに思い浮かぶのではないでしょうか。そればかりか、ときには高学年に対しての指導で熱が入ることもあります。

お仕事はもちろん、それ以外の時間でも自然体で口和に溶け込んでくださっている川東さん。歴代の駐在さんは皆さん素晴らしい方ばかりです。その伝統を川東さんもしっかりと継承して下さっています。


そういえば、以前口和に赴任されていた田丸さんは川東さんと個人的に親しい先輩で、昨年のモーモー祭でもお見掛けしましたし、休みの日に口和に来られることもあるそうです。


口和に定住してくださった西本さんをはじめ、駐在さんが異動されてからも口和に縁を持ってくださるのは、とてもうれしいことです。


寂しいことに、川東さんは異動になってしまいましたが、口和のことを忘れないで、必ずまた口和に遊びに来て欲しいです。そして、そんな風に思える駐在さんがいるのは、地域としてとても幸せなことだと思いました。


川東さん、お体に気を付けて、新しい赴任地でもご活躍をお祈りしています。本当にありがとうございました。

口和自治振興区
地域マネージャー
松本 晋太

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