
口和町竹地谷
日野光総さん 日野和美さん
#口和が好き013 2024年5月20日
みなさん、お肉は好きですか。
お肉にもいろいろありますが、そのあふれ出る旨味で人気なのが豚肉です。豚肉は、ビタミンB1の含有量に優れ、糖質の代謝をサポートし、疲れにくい体を作ってくれる優れもの。
また、豚肉はメニューの幅広さも人気の理由です。生姜焼き、豚しゃぶ、とんかつ、肉野菜炒め、豚キムチ炒め、豚の角煮、豚バラと白菜の重ね煮など、豚肉が主役のメニューは挙げればキリがありません。また、ラーメンにおける焼豚(チャーシュー)、お好み焼きにおける豚バラ、餃子、シューマイ、肉まんの餡など、脇役としても欠かせない役割を果たし、遂には焼き鳥屋さんのメニューにも豚バラが進出し定着しつつあります。 という訳で、地域マネージャーの松本です。また前置きが長くなってしまいましたが、今回は口和町竹地谷で養豚業を営む「有限会社日野ミートファーム」の日野光総さん、日野和美さんにお話を伺ってきました。日野和美さんがされている「日野警察犬・愛犬訓練所」についてもお話も伺ってきました。

日野家の養豚業は、いまから約50年前に光総さんの父・寛夫(ひろお)さんから始まります。寛夫さんは、高校卒業後に養豚場の研修などを経て、そこから数頭の母豚を譲り受け、現在の場所で養豚場を始めます。当時は口和町内でも養豚をされている家はたくさんあったそうです。
光総さんは25年前、大学卒業後の22歳のときに実家に戻り、養豚の世界に入ります。
その後、飼育頭数を増やしていき、法人化して「有限会社日野ミートファーム」となります。日野ミートファームでは、子豚が産まれる「繁殖」から大きく育てる「肥育」を経て出荷されるまでを一貫で行っています。 現在の飼育頭数は母豚が95頭で、子どもを合わせると約1000頭になります。
ところで、先ほどから登場する「母豚」という単語。もちろん「お母さん豚」という意味ですが、養豚業界でこれどう読むかご存知ですか。
・・・答えは「 ぼとん 」。音読みです。
最初に音だけでこの単語を聞いたときには、このオノマトペっぽい響きから、まさかこれが漢字の単語だとは思いませんでした。
この母豚(ぼとん)が、1回に12頭前後の子を産み、1年に約2.5回出産します。ということで、順調であれば1頭の母豚から1年間に30頭弱の豚が出荷されることになります。
豚は約1㎏強で産まれ、175日程度で110~120㎏に育って出荷されます。
豚肉の等級は公益社団法人日本食肉格付協会によって定められていて、出荷時はまず重量で等級が決まります。これが、大きければいいという訳ではなく、ちょうどいいところが最も等級がいいので、そこを狙って育てられます。
養豚業界も他の業界同様に大規模化と中小の養豚場の減少が続いています。農林水産省の畜産統計調査で見ると、広島県では2003年には50戸あった養豚場が、2013年には32戸、2023年には24戸となり20年間で半減しています。
その一方で、頭数は2003年が64,000頭、2013年が85,300頭、2023年には151,300頭と逆に倍以上に増えています。 つまり、ひとつの養豚場あたりの頭数が増えていて、大規模養豚場への集約化の傾向が明確に表れています。

大規模化すれば飼料や資材も大量に発注できるので安く調達でき、結果として1頭の豚を生産する費用が抑えられます。
一方、中小の養豚場ではそうはいかないので価格の競争になると厳しいところがあります。また、大規模化したくてもそれにはたくさんの資本が必要ですので、そう簡単にはできません。
さらに、ここ数年の物価高騰で飼料の価格が30%以上も上昇し、価格が下がる様子もなく、中小の養豚場にとっては厳しい時期が続いています。
ちなみに、大規模ってどのくらいのものなのかと言いますと、日野さんのところで飼育している約1,000頭の豚さんを全て入れても、大規模養豚場の豚舎1棟に収まるかどうかという規模で、そんな豚舎が何棟も、場所によっては10棟以上建っている、という規模で、まさに桁違いです。
このように中小の養豚場にとって厳しくなる一方の時代のなかで日野ミートファームがどうやって生き残ってきたのか。そこには、父・寛夫さんの経営方針にありました。
寛夫さんは、子豚が何頭産まれたか、どんな飼料をどれだけ与えたか、といった日々の記録を蓄積し、それをもとに飼育状況を管理し改善していきました。パソコンが一般家庭に普及する前からいち早く生産管理ソフトを導入し、様々なデータを記録していきました。
その蓄積によって、例えば「1㎏の豚肉を作るのに、何㎏の飼料が必要か」とか「1頭の母豚が何㎏の豚肉を作っているか」といった養豚場の実情が数字として見えるので、先入観に囚われずに問題点や改善点を見つけやすくなり、それが品質や生産性の向上につながります。
個人的な経験によって培われた「勘」が役に立つこともありますが、それのみに頼ると先入観が邪魔をして見えてこないことが出てきます。やはり判断の根拠となる「数字」を持っていることは経営上の強みとなるのです。 光総さんもこの経営方針を受け継がれ、現在も日々の管理徹底を大切にしています。
その一方で、いかに品質や生産性を上げても、その商品の存在を知ってもらわないと買ってもらえません。そこで、日野さんは他の養豚場とグループを作り一緒にブランドを立ち上げました。それが「瀬戸もみじ豚」です。 この「瀬戸もみじ豚」の最大特徴は、粉末にした広島県産の牡蠣の殻を飼料に加えることです。牡蠣の殻は良質なミネラルやアミノ酸が含まれており、肉質の向上と他の豚肉との差別化を図るのが狙いです。


そして、日野ミートファームでは数年前から新たな取り組みをはじめました。それが「獣医師によるコンサルティング」です。コンサルティングとは、その道の専門家が会社などの実情をふまえて、そこから見えてくる課題を解決するお手伝いをする、といったお仕事です。 それまでの「獣医さん」と言えば病気などの問題が起きてからお願いするものでしたが、日常的にアドバイスをもらうことで、病気の予防はもちろん、より健康面や品質面での向上を図ることができます。もちろんコンサルティング料は掛かりますが、光総さんは「それ以上のものがある」とその効果を実感しています。
また、厳しい戦いを生き抜いていくには、「自らを知る」だけでなく「相手を知る」必要があります。そこで、日野ミートファームでは、獣医師さんの協力のもと、日々蓄積しているデータと、同じようにデータを付けている全国の養豚場の数字を比較できる仕組みを利用しています。ここで相手を知ることで、自分達がどのレベルにあるのか、どこが課題なのか、業界全体の流れがどうなっているのか、といった情報を得て事業の改善につなげています。 ただし、生き物には生育に時間が掛かるため、例えば餌の種類を変えても結果がわかるのに時間が必要です。それで良い結果が得られればいいのですが、そうでない場合もあります。そういう意味で、方向転換のためには事前の情報収集が大変重要であり、最終的な決断には勇気が必要です。そして、その試行錯誤によって得られたデータが今後の養豚場経営の財産として積みあがって行くのです。

日野ミートファームの豚肉は、約半分が市場へ、残りが決まった業者に出荷されています。口和近辺では、サングリーンのスーパーで買うことができます。スライスされたものはもちろん、結構まとまった塊もありますので、料理の幅も広がります。個人的には肉厚なロースをとんかつにするのが大好きです。
日野ミートファームのある竹地谷も、他の中山間地同様に、人口減少が進み地域の維持が課題となっています。なにかとこの先を心配事も多い中山間地で、中小の養豚場にとって厳しい時代にありながら、家族経営でしっかりと品質のよい豚肉を市場に供給し続けている日野ミートファームはやっぱり凄いと思うのです。
なぜそれができているのかのヒントは、「記録を取る」といった、毎日のコツコツとした取り組みの継続にあると思います。そこから見えてくる自分たちの現状と市場の実情をもとに改善を続けていことで、自分の仕事をよりよい仕事にしていく。
こういうお話、実はこれまでにも様々な場面で耳にしてきているし、ビジネス書を読めば出てくる内容だったりもするのです。しかし、これがなかなか継続できないのです。目標を決めて始めたことでも、往々にして「今日くらいはいいか」などと徐々に自分でルールを曲げてしまうことが多々あります。 果たして、自分はどうだろうか……。日野さんのお話を伺いながら、これから文章にしなきゃいけないのに、自分を見つめなおして「ちゃんと頑張ろう」と元気をもらっている自分が居るのでした。このつたない文章で日野さんの凄さが伝わって、みなさんの元気にもつながれば幸いです。

そして、最後になってしまいましたが、お待ちかね「日野警察犬・愛犬訓練所」情報です。
犬の訓練は、和美さんが独身時代からされていて、ご結婚を機にこちらに拠点を構えることになりました。基本訓練、犬の躾(しつけ)を行い、警察犬になるような犬から躾の難しい犬まで幅広く受け入れています。
(この場合、愛犬家の方からすると「犬」という表現ではココロがざわつくので、「ワンちゃん」などといったほうがよろしいのでしょうか。)
躾だけをして欲しい、というご要望も大歓迎です。和美さんは、ワンちゃんの状態を見ればどこが原因で難しくなっているのかだいたい分かる、とのことで、お困りの方はご相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
また、ワンちゃんのお預かりもしているので、ワンちゃんを連れていけないご旅行などの際にもご相談ください。料金は1日2,000円とのことです。
→ご相談はこちらまで 090-1834-5183
という訳で、長時間にわたりありがとうございました。これから暑い時期になりますので、お体にお気を付けください。
口和自治振興区
地域マネージャー
松本 晋太

