口和の魅力を深堀取材!
#口和が好き

#口和が好き 008 ふくふく牧場

五感で自然を楽しむ

口和町湯木 ふくふく牧場

福元紀生さん 福元奈津さん

#口和が好き 008 2023年11月20日


牧場でトレッキング

みなさん、自然放牧での酪農とその牛乳で作るチーズでおなじみの「ふくふく牧場」では」、トレッキングもできるのをご存知でしょうか。

トレッキングとは「簡単な山登り」のような意味ですが、ふくふく牧場の場合は「山の放牧地を散策」といった感じになります。

乳牛を山に放牧する山地酪農をしているふくふく牧場の放牧地は、牛はもちろん木々や草花、虫たちでとても賑やかです。そんなたくさんの生き物に包まれてのトレッキングは、都会から来られるお客さんたちにとってはなかなか無い場面です。

そこで感じられる喜びや安らぎはふくふく牧場の大きな魅力のひとつで、「うちの子、こんなに走るんですね」と驚くお母さんや、「まるで親戚の家に来たみたいにくつろげます」といった声もあり、何度も足を運ばれる方もいるそうです。

その放牧地で牛たちは草を食べ、その排泄物が土の栄養の一部になり草木が育つという循環があり、その循環のなかから人間は牛乳を頂いています。

五感で感じる牧場

福元紀生さん、奈津さんご夫婦が経営するふくふく牧場は、そんなたくさんのいのちに満ちた自然のなかにいることで感じられる喜びを大切にしたい、というふたりの想いをもとにつくられています。 ふくふく牧場の放牧地にいると、目に映る緑だけでなく、季節の草花の薫り、頬をなでる風、鳥や虫の声など体中に染み渡るものがあります。そして、たくさんのいのちのなかで育った牛たちから頂いた牛乳からつくられるチーズ。これで「五感で感じるふくふく牧場」の完成です。

そんな素敵な場所が口和にできるまでには、胸の詰まるような、その一方でひとの優しさのつながり、そしてふたりの想いを感じる出来事がありました。

ふくふく牧場での乳搾り体験
ふくふく牧場の放牧地

3.11

2011年3月11日午後2時46分。東北地方の太平洋沖でマグニチュード9.0の大地震が発生。

その時、紀生さんと奈津さんは福島県いわき市田人町(たびとまち)貝泊(かいどまり)で自然放牧の牧場づくりを始めて3年目でした。

そこへ、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生。大気中に放出された放射性物質は、目には見えませんが当然貝泊の牧場にも飛来します。 確実に大変なことが起きているけど、この先どうなるかがわからない。立入ができなくなるかもしれないし、逆にここから動けなくなってしまうかもしれない。初めて経験する原発での大事故に対して、政府や自治体は安全と危険を判断する基準も避難計画も無く、どう判断すればよいかわからないなか、ふたりが取った行動は東京への避難です。避難先では「福島県のナンバーは見られないほうがいい」と言われたりしたそうです。

混乱する状況のなかで東京にいても情報は少なく、残してきた地域のみなさん、そして牛や動物たちのことも気掛かりです。居ても立っても居られず、結局東京で過ごしたのは数日のみ。物が不足しているのはわかっていたので、物資を満載して地震で荒れた常磐道を福島へ舞い戻りました。

4月11日、再び大きな地震。牧場で使っていた山水が止まりました。農林水産省からは牛の放牧や沢水を飲ませないよう通達があり、牛の水と食料の調達が必要になりました。

牧場や住居の復旧作業、水や牧草の調達などたくさんのことに追われる紀生さん。ガイガーカウンター(放射線測定器)を購入して牧場の放射線量を定点観測し、なるべく信用できる情報を集めるのが奈津さんの役目でした。

大好きだった牧場の野山で採れる山菜も食べられません。大きな喜びだった自然からの頂きものが危険なものになってしまいました。

いわき市田人町貝泊へ

牧場づくりのスタートはその数年前に遡ります。

紀生さんと奈津さんは、里山での自然放牧で、なるべく機械には頼らず、自分達でチーズを作り、いろんな人たちにも自然を感じてもらえるような牧場をつくれる10ヘクタール以上の土地を探していました。ただし、お金もたくさんあるわけではなく、条件にあう場所はなかなかみつかりません。

3年後の2008年、ようやく出会ったのがいわき市田人町貝泊の40ヘクタールの牧場跡でした。建物はボロボロで、ほとんど廃墟と荒野です。ただ、そこはふたりの心を奪うには十分に素敵な場所でした。

ここで一生やっていこうと決めたふたりは、2008年4月から開拓をはじめました。そんなふたりのために貝泊をはじめ地元のみなさんが力を貸してくれました。まず住むところも無かったので住居を補修するところから始めて、8月には最初の仔牛が牧場にやってきました。 教員免許を持つ奈津さんは地元の小学校で臨時教員をしながら、地元のみなさんの協力もあり、お金ではなく時間をかけて少しずつ牧場ができていきました。

2年後の2010年秋からは、ようやく念願のチーズ販売をはじめることができ、牧場が少しずつ軌道にのりはじめました。

口和自治振興区
地域マネージャー
松本 晋太

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